Project03
不良を見極める自動検査機の導入で人力の負担を減らし、3Kのイメージを払拭
「メッキ加工処理後の検査を自動化することで、検査精度と生産性を上げたい」という現場の意見からスタートしたプロジェクト。 まだ始まったばかりのプロジェクトに試行錯誤しながら、着実に成果を出しつつある本プロジェクトの主要メンバー、高井さんに具体的な内容や今後の展望について伺ってみました。
まずは、プロジェクトの内容を教えていただけますか?
- 高井
- これまで人の目視により行なってきた、メッキ加工処理後の検査(不良がないかのチェック)を、AIを使った自動検査機を導入することにより、従業員の負担を減らすとともに精度を上げていくことを目的としたプロジェクトです。
以前から導入は検討していたのですが、当社が求めるメッキの画像処理機械はレベルが高く、扱っているメーカーも限られており、価格もとても高額でした。そんな時に、国からのものづくり補助金制度を知り、事業計画書を提出したところ見事採決。そのおかげで、スピーディーに導入することができました。
どんなことがきっかけでこのプロジェクトが発足したのでしょう?
- 高井
- メッキ加工処理後の検査スキルを身につけるまでには半年〜1年はかかります。
しかも、人によってその判断基準が違い、精度にムラが出てしまうというのが現実問題としてありました。
また、この作業を担うのは当社の場合、女性が多く、産休・育休などで休暇に入ってしまうと作業効率が一気に落ちてしまうこと、そして、量が多くて休めないという課題がありました。そんな従業員の負担を減らしたい、というのが最初のきっかけです。やはり楽しく意欲を持って仕事に励んでもらいたいですからね。
このプロジェクトで苦労していることはありますか?
- 高井
- 今、一生懸命、AIに事例を読み込ませています。大方の合否基準はできましたが、形が変わったりしていると、AIも予想ができずエラーが生じたりします。その辺りを学習させていくのは、なかなか難しいですね。いろんなケースがありますから。
もちろん、AIの方が得意なこと、人間じゃないとわからないことなどそれぞれありますので、うまく折り合いをつけながら、最善のスタイルを見つけ出していきたいと思います。
プロジェクトをスタートさせてから、何か会社に変化はありましたか?
- 高井
- 当社には2機ラインがあるのですが、そのうち1号機にすでに自動検査機を導入しています。現段階で、全体の4分の1の仕事量を自動検査機でまかなえるようになりました。
今、2号機への導入も進めており、こちらが完備すれば、全体の8割を自動検査機でまかなえると予想しています。人力が減った分、やはり身体的な負担はかなり減ったように思います。なにせ金属は重いので、腱鞘炎になったり体のどこかしらを痛める従業員もいたのですが、そういうことから少しずつ解放されているように見えます。
今後の展望について教えてください
- 高井
- 機械に任せられることは機械に任せ、検査精度を上げていくことはもちろん、時間に余裕ができる分、自身の体を休めること、そして、新たな仕事をする時間に当ててもらいたいと思っています。
工場の仕事は、やはり3K(きつい、汚い、危険)のイメージが拭いきれません。AIとの共存で工場をスマートラボ化し、当社が先頭を切ってクリーンな製造業のイメージを発信していけたらいいですね。